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鹿児島地方裁判所 昭和48年(わ)75号 判決 1973年10月22日

被告会社

本店所在地

鹿児島県串木野市栄町二九番地

有限会社 吉見天寿堂

右代表者代表取締役

吉見亮助

被告人

本籍

鹿児島県串木野市栄町二九番地

住居

右同所

有限会社吉見天寿堂代表取締役

吉見亮助

大正一〇年七月八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官平本喜禄出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金一五〇万円に、被告人吉見亮助を懲役三月に、それぞれ処する。

被告人吉見亮助に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告会社と被告人吉見亮助の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は鹿児島県串木野市栄町二九番地に本店を置き医薬品の小売を目的とする資本金七〇万円の有限会社であり、被告人吉見亮助は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人吉見亮助は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上げおよびリベートの一部を除外し、簿外の預金や株式・割引債券の有価証券を取得して蓄積し、あるいは期末棚卸商品の一部を除外する等の行為によりその所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四四年一月一日から昭和四五年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額は八、四四三、五一六円でこれに対する法人税額は二、六三三、九〇〇円であつたのに、昭和四五年六月一日、鹿児島県日置郡伊集院町下谷口一、五三〇番地の二所在の伊集院税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二、五〇一、〇八四円でこれに対する法人税額は六一六、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二、〇一七、七〇〇円を法定の納付期限までに納付せず、もつて偽りその他不正の行為により右同額の法人税を免れ、

第二、昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額は一六、五九八、五九七円でこれに対する法人税額は五、八三七、二〇〇円であつたのに、昭和四六年五月三一日、同税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二、二二六、三一三円でこれに対する法人税額は六二三、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額五、二一四、〇〇〇円を法定の納付期限までに納付せず、もつて偽りその他不正の行為により右同額の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、第一回公判調書中の被告人吉見亮助の供述部分

一、被告人吉見亮助の当公判廷における供述、検察官に対する各供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、吉見信行の検察官に対する各供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、吉見孝子、吉見喜美子の検察官に対する各供述調書

一、小田原四郎、新屋育男の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人吉見亮助作成の各上申書

一、日下部桂造作成の上申書

一、熊本国税局収税官吏作成の各脱税額計算書、同説明資料綴

一、熊本国税局査察課作成の「昭和四六年度三号事件説明資料」と題する綴

一、押収してある昭和四四年四月一日から昭和四五年三月三一日までの事業年度分確定申告書(昭和四八年押第六七号の49法人税決議書綴に編綴のもの)、昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの事業年度分確定申告書(同押号の50)

(法令の適用)

被告会社につき

一、判示各所為 各法人税法一六四条一項、一五九条一項

一、併合罪処理 刑法四五条前段、四八条二項

一、訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

被告人吉見亮助につき

一、判示各所為 各法人税法一五九条一項(所定刑中各懲役刑選択)

一、併合罪処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

一、執行猶予 同法二五条一項

一、訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 栗原宏武)

右は謄本である。

昭和四八年一一月九日

鹿児島地方裁判所

裁判所書記官 田代尚盛

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